マモンジーニョは、中南アメリカ原産で、ハワイ、インドに導入されている亜低木です。マモンジーニョ (Mamãozinho) とはブラジルの呼び名で、ポルトガル語で「小さなパパイア」という意味です。種形容語のquercifolia は「カシ属(Quercus)の葉に似た」という意味です。英語では同じ意味で Oak Leaved Papayaと呼ばれます。文献では Vasconcellea quercifolia A.St.Hil. を synonym (同種異名) とするものもありますが、先月も登場した The Plant List (Version 1.1) によれば、C. quercifoliaもV. quercifoliaもどちらかのsynonymではなく「採用 (Accepted)」とされているので、当館では今のところ、それぞれは別種ということにしています。
マモンジーニョは高さ2~4mに育ちます。パパイアと同様に柔軟な幹で、基部は壺状に肥大します。多肉植物趣味の人たちには、このような壺状植物を盆栽のように育てて楽しむ人もあります。マモンジーニョの葉は披針形で全縁または浅裂します。日本のカシノキ類とはあまり似ていませんが強いて言えばミズナラやナラガシワに似ているでしょうか。ヨーロッパのオウシュウナラ (Quercus robur L.) であれば、似ているようです。
マモンジーニョは雌雄異株で、花序は腋生します。雄花は総状または散房花序で多数つき、雌花は単生または小数が総状につきます。花の色は緑~黄緑色で直径はどちらも1cmくらいです。マモンジーニョの果実は長さ3~4cmの長楕円形です。未熟な緑色の内は縦に白い筋が入りますが、熟すと全体が橙色になります。
マモンジーニョの果実はパパイアと同じように食用となります。当館のパパイアは熟しても甘味が弱いので、当館に限って言えば、マモンジーニョの方が美味しいです。原産地のブラジルでは薬用となることが知られており、種子および植物体の切り口から出る乳液を駆虫に用います。