紀元前5世紀頃、インドで釈迦が菩提樹(ボダイジュ)の木の下で悟りを開いたと言われています。しかし日本では、その菩提樹のことをインドボダイジュと呼んでいます。日本で菩提樹と呼ばれて、お寺などに植えられているのはシナノキ科のTilia miquelianaです。本物の菩提樹は熱帯性の植物なので、温帯の日本では生育しないということで、葉の形が似ているTilia miquelianaを本物の代替品として菩提樹と呼び植栽しているのです。
インドボダイジュは熱帯性の植物ですが、比較的寒さに強く、ある程度耐寒性があるといわれています。そこで当館では温室で栽培していたインドボダイジュの鉢植え株を戸外に搬出して、防寒などの処置を施さず越冬試験を実施しました。それが2000年10月のことです。暫くすると見事にすべての葉が落ちました。幹も生存しているとは思えない状態でした。2001年の5月に枯死した株を処分しようとしたところ、主幹の根元から小さな新梢が出ていたのです。その新梢が夏を越え秋になると、樹高50㎝の主幹になりました。これらから推察するとインドボダイジュは地植えして幹を布などで巻いて防寒してやれば、京都の山科では越冬しそうな気がします。
さて2001年の秋の中頃にインドボダイジュの鉢を温室に戻し、その後は秋から春にかけて戸外に出すことなく育てたところ2004年3月には樹高160㎝に育ちました。そして4月の始めに初めて花が咲きました。但しインドボダイジュの花は無花果と呼ばれるイチジクと同じで、世間一般でいう綺麗な花は咲きません。