園芸店で販売されているペペロミア(Peperomia argyreiaやP. obtusifoliaなどの数種)は、葉の直径が4、5cmほどで草丈も20~50cmくらいになる中、大型の植物ですが、今回紹介するペペロミア・ペルキダは葉の直径が1cmくらいで草丈も5~10cm程度の小さな植物です。ペペロミア・ペルキダは熱帯アメリカの原産で、熱帯全域に野生化しています。同じ属として日本には、日本固有のサダソウ(P. japonica)が四国・九州・南西諸島に分布しています。
ペペロミア・ペルキダの花は円柱状の花序にまばらにつきます。開花すると花序軸から白い毛が生えているように見えますが、小さすぎてよくわかりません。実体顕微鏡で観察すると、刷毛のようなものは雌ずいで、両脇に白い玉のような2個の雄ずいがついているのが、ようやくわかります。花が終わった後の、緑の果実のほうが粒々としてきれいです。果実は直径0.5mmくらいで表面には筋状の模様があり、熟すと褐色に変わって容易に落下するようになります。この褐色の果実は湿気さえあれば発芽するので、こぼれ落ちた隣の鉢の中だけでなく鉢の受け皿や排水溝など様々なところで発芽し、かわいいハート形の葉を広げます。小さい内はほほえましくもありますが、放っておくと鉢や排水溝一面にびっしりと育つのでやっかいな雑草でもあります。
ペペロミア・ペルキダの果実は、同じコショウ科のコショウ(今月の花2004年1月)に似ていますが、食べてみてもピリッとした辛味は全くありません。ベトナムでは葉や茎を香辛料として生食するそうです。