BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

チリマツ(ナンヨウスギ科)

Araucaria araucana (Mol.) K.Koch

チリマツ

昔、チャールトン・ヘストン主演の”猿の惑星”という、面白い映画がありましたが、”猿の困惑”という木をご存知ですか。これはMonkey Puzzle Treeという英名を直訳したもので、和名をチリマツといいます。名前のごとくチリの南緯37.5°から40°くらいのアンデス山中に分布の中心があります。ただしマツ科ではなくナンヨウスギ科です。学名のAraucariaはチリマツ林に居住していたチリの先住民のアラウコ族にちなんで付けられました。

チリマツの幼木は下枝を対称形にだすので、写真のごとく手長猿のような、妙な樹形になります。数十年たつと下枝を落とし、傘形の普通の樹形になります。チリマツの種子は親指ぐらいの大きさで、美味しくて現地では食用にしているそうです。当館のチリマツは一昨年の正月に友人がチリから持ち帰った5粒の種子を発芽させたものです。その折り、”旨いから一個食べてみないか”といわれたのですが、もし食べる1粒だけが発芽可能な種子かもしれないと思うと、とても食べる気にはなりませんでした。結局5粒のうち2粒発芽しただけでした。食べなくてよかった、と思っています。

さて実は、Monkey Puzzle Treeという名前にも関わらず、チリマツの自生地に猿は生息していないのです。20年もすれば当館のチリマツも猿が登れるぐらいの大きさに生長しているでしょうから、本当に猿が困惑するか、それとも簡単に登るか実験しようと思っています。葉先は堅く、鋭く尖っているので、とても人間が登れるような木ではありません。

チリマツの写真
撮影日: 2002年11月 25日