チケイランは九州南部と琉球、海外では中国、台湾~ヒマラヤ、東南アジアと広い地域に分布する小型の着生ランです。先月に紹介したキノエササランの基準変種にあたります。日本では生息数を減らしており、環境省レッドリストの絶滅危惧II類(VU)に該当します。当資料館のチケイランもキノエササランと同時に、とある薬用植物園から危険分散のために分けていただいたものです。
キノエササランとの違いは先月とは反対に、チケイランは葉を1個つけること、茎が長円錐形であること、蕊柱上部に突起があることです。
チケイランとキノエササランを同時に栽培して気がついた違いはこのほかに、開花が半月~1か月ほど遅いこと、花の直径が1.3cmくらいで少し大きいこと、花被片の色がやや濃く、はじめ黄緑色で後に薄橙色になることです。また、こぼれた種子が良く発芽し、植えつけているミズゴケの上ばかりか、鉢を吊り下げている紐の間からも芽が出てきました(上の写真参照)。
チケイランの花 (左) と キノエササランの花 (右)
チケイランには蕊柱に突起があり、キノエササランにはない。