BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

コロキア・コトネアスター(アルゴフィルム科)

Corokia cotoneaster Raoul

コロキア・コトネアスター

コロキア・コトネアスターはニュージーランドに分布する高さ2mほどの常緑低木です。属名はマオリ族の現地名korokiaに由来し、種形容語はバラ科の小低木コトネアスターCotoneasterに似た姿をしていることを意味します。元々のバラ科Cotoneasterは、ラテン語でマルメロを意味するcotoneusとaster(似た)から、マルメロに似た植物を意味します。

コロキア・コトネアスターの花は黄色く直径2cmほどで、あまり目立ちません。花弁は5枚で基部で合着します。雄蕊と雌蕊の根元には房々した毛のようなふくらみがあり、これをよく観察すると花弁の一部にあたる「辺縁の切れた小舌fringed ligule」であることがわかります。

コロキア・コトネアスターは南半球プランツの一種として販売されており、独特の黒い枝葉やワイヤーのように伸びる枝を観賞する目的で栽培されます。当資料館ではあまり聞きなれない「アルゴフィルム科」の植物を観察するために導入しました。

アルゴフィルム科はAPG II(2003年)で登場した科です。アルゴフィルム科はオーストラリアとニュージーランドに分布する2属24種の小さな科です。Argophyllum属とCorokia属からなります。これらの植物は形態的な特徴が乏しいために分類を位置付けることが難しく、Argophyllumはスグリ科、Corokiaはミズキ科に含められていました。20世紀の終わりに形態的な特徴が見出されてアルゴフィルム科が提唱され、その後の遺伝学的な研究によってその正しさが証明されてキク目Asteralesの中に置かれることになりました。基礎生物学研究所の長谷部光泰先生のサイトhttps://www.nibb.ac.jp/evodevo/tree/mac%20mini_tree/13_14_13_06_Argophyllaceae.htmlによれば、アルゴフィルム科の共通派生形質は

1. Petals basally connate with adaxial fringed ligule 花弁は基部で癒合し、向軸側に辺縁の切れた小舌を持つ
2. hairs T-shaped, multicellular 毛はT型で多細胞

になります。1つ目の特徴は上に書きましたので、2番目のT型の毛も観察してみました。虫メガネでは葉から1本の毛が出ているように見えますが、実体顕微鏡を使うとV字型または1か所から2本の毛が出ているように見えることがわかりました。Tの縦棒を観察したり、毛が多細胞かどうかを観察したりするにはもっと高倍率の顕微鏡が必要そうです。

コロキア・コトネアスターの花と花弁基部の辺縁の切れた小舌fringed ligule
コロキア・コトネアスターの葉(バーの長さは5mm)
コロキア・コトネアスターの葉の拡大(バーの長さは1mm)