グロキシニア・ペレンニスは中央アメリカからブラジル、ペルーに分布する多年草です。生花店で販売されている「グロキシニア」はイワタバコ科で別属のオオイワギリソウSinningia speciosa (G.Lodd. ex Ker Gawl.) Benth. et Hook.f. ex Hiernを中心に種間交雑して得られた栽培品種群を指します。このオオイワギリソウがかつてGloxinia属に分類されていたことから、園芸分野では今でも「グロキシニア」と呼ばれています。今回ご紹介するのはSinningia属の「グロキシニア」ではなく、本来のグロキシニアです。
グロキシニア・ペレンニスは高さ50~70㎝。茎には赤い斑点があり、葉の裏も赤くなります。葉は卵形で光沢があり長さ5~10㎝です。茎の先端に総状花序をつけます。花は長さ3~4㎝の釣り鐘形で淡青紫色です。
グロキシニア・ペレンニスは芋(鱗茎)で増殖します。長さ5㎝、太さ2㎝くらいの棒状で鱗があり白色です。写真をご覧になると分かるように、まるで芋虫のような不気味な姿です。植え替え時に初めて目にしたときには悲鳴を上げそうになりました。
グロキシニア・ペレンニスは芋を食用にするわけでも、薬効が知られているわけでもなく、もっぱら熱帯の観賞植物として栽培されます。日本では植物園の温室で時おり見かける程度で、園芸植物の「グロキシニア」のように販売されることはあまりありません。筆者としてはこちらのグロキシニアも観賞価値は高いと思うのですが、多様な新品種をつくりにくいといった何か理由があるのかもしれません。