この植物の根元には、写真で見られるような黄色い花が多数着く。花が終わると果実が成熟し、まもなく白いラッキョウのような形をした果 実が収穫できる。
この実の中には「ネオクリン」と呼ばれる甘味成分が含まれている。この成分は、それ自身も甘味を示すが、それだけでなく、「水を甘く感じさせる作用」をもつ。この実を口に含んだ後、水を飲むと不思議なことに、水が甘く感じられる。また紅茶を飲むと、砂糖なしでも紅茶が、甘くなる。しばらくして甘味がなくなっても、また一口紅茶を飲むと、甘くなる。この実を食べてから、ビールを飲むと、ジュースのように甘くなり、お酒の飲めない人が飲み過ぎて、のびてしまったという話もある。
この植物はマレーシアやインドに野生しているが、現地の人たちは、昔から、酸っぱいものを食べる前にこの実を食べていたということである。
ネオクリンは、113個と114個の2つのアミノ酸からなるタンパク質であることが知られている。現在、この成分が、どのようにしてこの不思議な作用を発現するのかを解明する研究が進められている。
(「プランタ」研成社発行より)