キクラントゥス・ビパルティトゥスは中米から南米の北部に分布する大型の多年草です。パナマソウ科は12属200種以上の大きな科で、2亜科にわかれます。1つはパナマソウ(リンク)が含まれるパナマソウ亜科(Carludovicoideae)で、ほとんどの属がこちらです。もう1つは本種が含まれるキクラントゥス亜科(Cyclanthoideae)です。キクラントゥス亜科はキクラントゥス属のみです。またキクラントゥス属は本種とパナマからコロンビアに分布するCyclanthus indivisus R.E.Schult.の2種だけが知られています。
キクラントゥス・ビパルティトゥスは短い茎から大型の葉を多数出します。葉柄部分は長さ1~1.5mくらいです。葉身は長さ90~120㎝の楕円形か又は先端が2つに分かれた形をしています。キクラントゥス・ビパルティトゥスの花は葉腋から出てきます。緑~淡黄色の4枚の苞が脱落すると奇妙な花序が姿を現します。なんとも説明しがたいので『朝日百科植物の世界』11巻を引用すると「花の各部は極度に癒合・退化しており、個々の花の単位ははっきりせず、代わりに花序軸の上に、雄しべの輪と雌しべの柱頭がつながった輪が交互にある。」とあります。この説明のままにモップの毛があるところ(雄しべ)と無いところ(雌しべ)が段々に並んでいます。当館の個体は2022年の6月に初めて開花し、今回の開花ではたくさんのナメクジが集まりました。彼らが受粉を媒介しているのかどうかはわかりませんでした。