カギガタアオイは静岡県の中西部および山梨県南部の低山地の広葉樹林下に分布する多年草です。葉身は長さ5~10cm、幅4~7cmです。葉柄は暗紫色です。花は10~11月に咲き出します。花の大きさは直径3cmくらいです。花弁に見える部分は萼筒です。萼筒の内側には格子状の襞があります。雌しべは6個あり、先端が曲がって長靴をひっくり返したような形をしています。和名の「カギガタ」も漢字で書くと「鉤形」で、この形に因みます。学名の「curvistigma」も「曲がった雌しべ」を表します。雄しべは、雌しべと雌しべの間のやや内側に6個と、雌しべの外側の6個で、合計12個あります。
当資料館で栽培しているカギガタアオイは、1971年に静岡市郊外で採集したものです。当時はそれほど珍しくなかったのかもしれませんが、現在では環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類(EN)、すなわち「ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの」に指定されています。せっかく45年以上も栽培を続けているのですから、引き続き大事に保護していこうと考えています。