BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

オオバナサルスベリ(ミソハギ科)

Lagerstroemia speciosa (L.) Pers.

オオバナサルスベリ

オオバナサルスベリは、インド、インドシナ半島からマレーシア、北オーストラリアにかけての広い地域に分布する落葉性の高木です。熱帯各地では街路樹として植えられています。属名Lagerstroemia (ラジェルストレーミア)は読みにくいですが、本属の命名者であるリンネの友人で、スウェーデンの生物学者のラジェルストローム(Magnus von Lagerstroem、1691-1759)に因みます。

オオバナサルスベリの花は小枝の先端に円錐花序としてつきます。花1つ1つは直径6cmくらいで、サルスベリ属では最大になるとはいえ、日本のサルスベリ(L. indica)と比べてもそれほど大きな感じはありません。しかし、サルスベリのように塊にならず一つ一つが独立している上に、花序の長さが30~45cmになることから大柄で見応えがあります。このように綺麗なので4年前に温室に定植しましたが、やっと咲きました。今春に行った環状剥皮が奏効したのか、7月初旬の梅雨明け直後の高温に潅水が追いつかず、乾燥気味になって葉を全部落としたのが乾季の休眠の役割を果たしたのか、原因は良くわかりませんが待った甲斐があるというものです。

オオバナサルスベリは上に書いたように街路樹として利用される他に、材が堅いので家具材や建築材、船の材料になります。樹皮はタンニンを多く含み薬用としてインドやマレーシアで腹痛や下痢止めに用います。また葉を湿布薬とします。フィリピンではバナバ(banabá)と呼ばれ、葉をお茶にして飲まれてきました。日本でも「バナバ茶」の名称で出回っています。