アメリカアサはアメリカ合衆国東部の原野に生える高さ50~100cmの落葉低木です。別名「メキシコ大麻」、英名「 Indian hemp(インディアンの大麻) 」とも言いますが取締りの対象となるアサ (Cannabis sativa) とは無関係です。この場合のアサ (麻) は「茎から繊維を取る植物」の意味で、アメリカアサからも繊維を取ることができます。同じ仲間には、中国西部原産でお茶の原料となるラフマ (Apocynum venetum) があります。こちらも茎から繊維を取ることから漢字では「羅布麻」で、アサの字がつきます。
アメリカアサの葉は、長楕円形で茎に対生します。花は茎の先端部に付きます。ラフマの花は桃色ですが、アメリカアサの花は白色です。花弁は筒状で直径 5mm程度と小さく地味ながらも清楚な美しさがあります。
アメリカアサの新鮮な液汁はいぼ取りに使われ、アメリカ原住民は根を、ぜんそく、水腫、咳、梅毒、リウマチの治療に用いました。根には強心配糖体のシマリンが含まれており、強心薬の製造原料となります。ちなみに、マリアアザミ (Silybum marianum) の種子に含まれる物質も「シマリン」と呼ばれることがありますが、これは「シリマリン」の誤りでマリアアザミの種子に強心作用はありません。
ラフマ