アフリカホウセンカは熱帯アフリカが原産の多年草です。夏の花壇で栽培される「インパチェンス」と呼ぶ方がなじみ深いと思います。花壇で栽培されるインパチェンスは背丈が低く抑えられていますが、当館で栽培の野生種は高さ30~50cmくらいまで育ちます。アフリカホウセンカの属するツリフネソウ属(Impatiens)でよく栽培されるのは、この他にホウセンカ(Impatiens balsamina L.)とニューギニアインパチェンス(Impatiens hawkeri W.Bullなどの血を引く園芸品種群)があります。
アフリカホウセンカの花は上の方の葉に腋生し、1~3個が付きます。花色は、当館のものは赤紫色ですが緋紅色から青紫色、白色まで様々です。余談ですが2000年代前半くらいまでのデジタルカメラではこの赤紫色は写りませんでしたが、最近ではだいぶよく再現されるようになり青紫や赤紫の花でも当コーナーで紹介しやすくなりました。写真をよく見ると花弁がストロボに反射してキラキラと輝いているように見えます。顕微鏡で細胞表面を観察すると面白いかもしれません。花弁は5枚で平板状に開くことから、ホウセンカや日本の山に咲くツリフネソウ(Impatiens textorii Miq.)と同類だとは思えませんが、紡錘形の果実と、この果実が裂開するときの様子を見ればやはり同じ属なのだとわかります。因みに属名Impatiensは「耐えられない」という意味で、果実に触れるとはじけることに由来します。
アフリカホウセンカは上記のようにもっぱら鑑賞用として栽培されていますが、原産地では薬用としても使われます。ビクトリア湖南西部に暮らすスクマ族はこの根を堕胎に用い、キリマンジャロ山麓に暮らすチャガ族は茎を腹部の痛みや肝臓の痛みに用います。