BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ヤナギトウワタ(ガガイモ科)

Asclepias tuberosa L.

ヤナギトウワタ

<北アメリカ先住民が胸部疾患に利用していた薬草>

ヤナギトウワタ(Asclepias tuberosa)は、鮮やかな明るいオレンジ色の花をたくさんつけることから、日本でも観賞用に見ることができるガガイモ科多年生の植物です。
北アメリカ原産で、北米の先住民がその根を気管支炎などの胸部疾患の治療や去痰剤・解熱剤として用いてきた薬草で、英語ではPleurisy Root(Pleurisyは胸膜炎という意味)と呼ばれています。
アメリカでは民間薬として使うこともあるようですが、根には強心配糖体・カルデノライド類が含まれていて、妊婦には禁忌とされています。
草丈は50~80cmほどになり、線状で先のとがった柳のような細長い葉をやや互生に着け、同属のトウワタ(A. curassavica L.)とよく似ていることからヤナギトウワタという名がつきました。切ると白い乳液が出るのが特徴です。
日当たりのよい水はけのよい砂地のような土壌でも比較的簡単に育てることができますが、根が塊茎状に水平に長く肥大化し、いったん定植してしまうと移植は難しいようです。
夏に、写真のように鮮やかなオレンジ色の花をたくさん着けるのでとても目立ち、観賞用にされることが納得できます。花が終わると写真のように先のとがった細長いオクラのような果実をつけますが、やがて果実が熟し開裂すると、冠毛のついた種子がこぼれ出てきます。これが風に乗って飛散し、野生化してしまうこともあります。
この果実の形や冠毛のある種が、枕やクッションに利用されるパンヤがとれるパンヤノキ(Ceiba pentandra、パンヤ科Bomacaceae)に似ていることから、宿根パンヤとも言われています。実際種子についている綿毛を集めてパンヤの代用品として利用できますが、質はパンヤに劣るそうです。同属のトウワタにも似た種子を着けるので、和名の由来にもなっています。