BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

バルサ(アオイ科)

Ochroma lagopus Sw.

バルサ

<最も軽い材木が採れる木 バルサ>

前回は最も重い材木が採れる木、「ユソウボク(リンク)」を紹介しましたが、今回は最も軽い材木が採れる木、「バルサ」です。バルサは中米から南米北部に分布する、高さ30mにもなる高木です。属名のOchromaは、花色が淡黄色であることにちなみます。この植物の花は、蜜を吸いに来たコウモリを利用して受粉し、毛で包まれた種子を作ります。バルサの材木は比重が0.12~0.20で軽いため、船の救命具や浮きに使われました。また、やわらかく、加工しやすいため、模型飛行機の骨組みにも重宝されます。バルサ(Balsa)はスペイン語の「筏(いかだ)」からきています。

材が軽い木は生長の早いものが多いですが、バルサも、とても成長の速い木で、数年で樹高15 m、直径50 cm以上になります。ところが、生育環境が悪く、生育が遅れると、重い材になります。これは、成長が早いときは、材に多くの空気を含み、軽くなりますが、環境が悪いと生育が遅くなり、空気の量が少なくなり、重くなります。

当館ではバルサを鉢で系統保存しています。大きくなっては置く場所に困るので、小さい鉢で保存しています。播種から10年近く経つのですが、高さ80cm程度に刈り込んでいます。このバルサ、十分に生育させていないために、きっと材は軽くないと思います。