BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ハクラクジュ (ブレッシュネイデラ・シネンシス)(アカニア科)

Bretschneidera sinensis Hemsl.

ハクラクジュ (ブレッシュネイデラ・シネンシス)

ハクラクジュ(ブレッシュネイデラ・シネンシス)はアジア南東部に分布する落葉樹です。まだ小さかった頃にも紹介しています。はじめ中国西南部からベトナム北部に分布することが知られていました。その後台湾、タイでも発見されました。和名は中国名の「伯乐树 bo le shu (= 伯楽樹)」に因みます。クロンキストの分類では独立のブレッシュネイデラ科Bretschneideraceaeとして扱われていましたが、遺伝情報に基づくAPG分類体系ではアカニア・ビドウィリイAkania bidwillii (Hend. ex Hogg) Mabb.が属するアカニア科Akaniaceaeに含まれます。アカニア科は上記の2属2種だけです。

ハクラクジュは高さ10~20mくらいまで生長します。長さ50㎝以上にもなる奇数羽状複葉を持ち、大きなムクロジのような姿をしています。茎の先端に総状花序を付けるところはトチノキ(ムクロジ科)にも似ています。このためクロンキストの分類ではムクロジ目のブレッシュネイデラ科でした。しかし、からし油配糖体を含むことや上記の分子学的研究に基づく遺伝情報からアブラナ目のアカニア科となりました。

ハクラクジュの花は直径4㎝ほどで大きく、花序全体では高さ30㎝ほどになります。花色は個体により白から薄紅色です。当館の花は白色に桃色の筋が入り大変美しいものでした。花弁は5枚で、上の花弁は完全に開かずにひさしのようです。

10年ほど前に東京大学の小石川植物園で美しい花を咲かせることを知り、当館でも見たいものだと思っていましたがやっと開花しました。当館の個体は台湾林業試験所植物園との種子交換で2009年に入手したものです。発根した状態で届いたので当時の担当者(既に定年退職)は「lucky!」と書き残しています。さっそく、元担当者に開花を知らせました。