BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ハイゴショウ(コショウ科)

Piper sarmentosum Roxb.

ハイゴショウ

ハイゴショウは、中国南部からヒマラヤ、東南アジアにかけて分布する高さ50cmくらいの草本です。茎は立性になるほかに、ほふく茎をのばして遠くへ広がります。

ハイゴショウの花序は葉腋に着きます。花序の長さは2~3cm。結実には至りませんが、途中まで肥大するので雌株だと思われます。東南アジアではハイゴショウの若い茎や葉は野菜として利用されます。中国では「假蒟(jia ju、カク)」と呼んで根、葉、果穂を腹痛やリウマチの腰痛、マラリアの治療に内服し、水虫、歯痛、打撲傷、外傷出血に外用します。

以前紹介したヒハツ(インドナガコショウ)、ヒハツモドキ(ジャワナガコショウ)とこのハイゴショウはお互いによく似ていて、名前を取り違えられていることもあります。当資料館で栽培している株が正しいものか確かめるために、「Flora of China」のホームページを見ながらどうやって区別すればよいのか考えてみました。その結果、まず葉脈を見てみるとヒハツモドキは主脈から側脈が出ているのに対して、ヒハツとハイゴショウの側脈は基部から伸びて主脈の途中からは出ていません。ヒハツとハイゴショウでは、ヒハツは立性ではなくほとんどが岩や樹肌に着生するつる性であること、ヒハツの葉は心形で基部が膨らむこと、それに対してハイゴショウの葉は広卵形で基部の膨らみがないことから区別できるのではないかと考えました。ハイゴショウのほふく茎につく葉には、ヒハツのように基部が膨らむものもあるのですが、全体で見れば特殊な葉なのでこれは除外して良いと思います(ヒハツでは膨らまない葉は無いようです)。このようにして、当資料館のヒハツ、ヒハツモドキ、ハイゴショウはどうやら誤りではなく、お互いを区別することができるようになりました。ただし、その他のコショウ属と区別することはまだできませんし、これで本当に正しく見分けられるかも確証は持てません。