「どんぐりころころ どんぶりこ お池にはまって さあ大変」 と童謡に歌われた、どんぐりとはブナ科(Fagaceae)の果実のことです。このブナ科から分離独立して二十世紀なかばに新科として成立したのが、ナンキョクブナ科(Nothofagaceae)です。この科の英名は、Southern Beech Familyで、訳すと「南のブナ科」です。和名も英名も似たようなものです。ところが学名のNothofagaceaeの意味は「偽ブナ科」です。
なぜこのような名前が付いたのでしょうか。実はナンキョクブナ属の命名者のBlume は最初、南のブナ属という意味のNotofagusを属名にしたのです。ところが、どこで、だれが、どう間違ったのか、学名を決定した文献にはNotoの「t」と「o」の間に「h」が印刷されていたのです。
Noto= 南の
Notho = 偽の
命名者のBlumeが後にこれに気づいて呆然となったかどうかは定かではありません。当館で育成している、Nothofagus mooreiを見るたびに、可哀想な名前に同情しています。印刷物を出版する時は、校正刷りをしっかりチェックしましょう。(尚、上記の文章は筆者の想像がかなり入っていますのでご注意下さい)
Nothofagus mooreiの写真
播種日: 1999年 6月 2日
発芽日: 1999年 6月 14日
撮影日: 2002年11月 21日