ドリミス・ウインテリは南アメリカの温帯林の林床に生息する低木です。ドリミス・ウインテリの属するシキミモドキ科は4または5属60~90種の比較的小さな科で南半球を中心に分布します。シキミモドキ科のようにゴンドワナ大陸の時代に出現し大陸の分裂によって南アメリカ、アフリカ、マダガスカル、オセアニアの各地に分布する生物をゴンドワナ要素といいます。ゴンドワナ要素として有名なものにはバオバブ、肺魚、カエルのツノガエル類やピパ(コモリガエル)類などがあります。このように分布からも古い植物であるとわかるシキミモドキ科の植物は、全ての種が仮導管を持つなど非常に原始的な特徴を残しています。
ドリミス・ウインテリの花は新梢の根元から集散花序を腋生します。萼はカリプトラ(2011年10月の花「エウポマティア・ラウリナ」を参照)となっていますが、エウポマティアと異なり縦に割れます。花弁は淡黄白色で十枚前後あり、多数の雄しべと数個の雌しべがあります。大きさは二回りくらい小さいもののシキミの花にそっくりで、本来のシキミモドキ(Tasmannia piperita)よりもシキミに似ているのではないかと思います。
シキミモドキ科の植物は精油を含み、枝葉に芳香があります。ドリミス・ウインテリの樹皮は調味料とされたり、薬用として健胃、強壮、利尿や下痢止め、頭痛、便秘、胸焼け、葉痛、また水夫の壊血病予防に使われたりしました。