BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

トチュウ(トチュウ科)

Eucommia ulmoides Oliv.

トチュウ

トチュウは中国の中部から東部に分布する高木です。Flora of Chinaによれば、野生の個体はまれで、多くが栽培であるということです。トチュウ科Eucommiaceaeは本種だけで1科を構成します。

トチュウの樹皮は灰褐色でコルク層があります。葉は互生し長さ10cmくらいで鋸歯があり、表面の葉脈は凹みます。雌雄異株のため、結実させるには雌雄2株以上が必要です。雄花は長さ約1cmの雄蕊のみが房状につきます。雄花は新芽の基部に数個着きますが、雄蕊がたくさんある上に開花後に落下すると花粉で園路が汚れるのでそれと気づくことができます。雌花は長さ1cmの雌蕊のみが新芽の基部に着きます。雌花は小さく、落下しないので開花時期(雄花と同じ4月頃)によく観察しないと見つけることは困難です。夏になると成長して果実となるので見つけやすくなります。果実は長さ3cm程度です。冬の12~1月頃に落下します。トチュウの果実はたくさん実り、冬に落下した果実は翌春に大量に発芽します。

トチュウの樹液にはゴムの異性体であるガタパーチャ(グッタペルカ)が含まれます。このため樹皮や葉をちぎると樹液が糸を引くので、糸が切れないように葉や樹皮を絶妙に切り離して遊ぶことができます。特に強く糸を引くのは果実です。

トチュウの樹皮は生薬として、現行の第十八改正日本薬局方に収載されています。イリドイド配糖体やリグナン配糖体が含まれ、強壮や強精、鎮痛に用いられます。葉は、厚生労働省が定める食薬区分の「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(非医リスト)に例示されていて食品として利用することが可能で、杜仲茶として販売されています。

参考文献
Flora of China. http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=200010586
北中進 他編. カラーグラフィック薬用植物 第5版. 廣川書店

トチュウの雄花

トチュウの雌花(矢印部分)

トチュウの若木と実生(右下)

トチュウの葉と果実をちぎって伸ばしたもの

トチュウの葉をちぎった部分の拡大