タンジン(Salvia miltiorrhiza)は、中国原産で、河北、山東、安徽、四川などの省に分布するシソ科アキギリ属の多年生草本で、日本でも栽培されることもあります。
日当たりいい山地などに生えて、草丈は30~80cmほどになります。茎は四角形で直立してたくさん分枝し、葉は対生で長い柄を持つ奇数羽状複葉となります。小葉は、長さ2~7cmほどの卵形で、先は尖っていて縁に鋸歯を持っています。葉の裏には毛が密生しています。初夏から夏に、茎頂に青紫色のシソ科特有の唇形花をかたまってつけます。花軸は腺毛でびっしり覆われています。
根は細長く円柱状で、その外皮は朱紅色になり、晩秋にこれを掘り上げて乾燥したものを丹参(タンジン)といいます。古くから生薬として薬用に用いられてきました。
成分としては、フェナントラキノン系色素のタンシノンⅠ、ⅡA、ⅡB、クリプトタンシノン、イソタンシノンⅠ、ⅡA、タンシノールⅠ、Ⅱなどの特異な成分が含まれているほかビタミンEや樹脂を含んでいる事が報告されています。
生薬「丹参」は通経、血管拡張、血液循環、鎮痛薬として、月経困難症、疼痛、腫れ物の治療などに単味で、あるいは漢方処方に配合されて利用されます。「神農本草経」では上品として納められている生薬のひとつで、日本薬局方にも収載されている重要生薬のひとつですが、第十七改正で新たに収載されました。(公定書の記載に従って、本項ではシソ科をLabiataeと記載しています。)