熱帯アフリカのサバンナ地帯の原産とされ、インドやアラビアでは重要な植物の一つです。現在では熱帯各地で広く栽培されています。学名のTamarindusは、ペルシャ語のtamar-i-hindi(インドのナツメヤシ)に由来します。
樹形の美しい常緑高木で、高さは25mにもなります。葉は淡い緑色で小さな小葉からなる羽状複葉です。枝先に総状花序の花を多数つけます。蕾の時は紅紫色で、花弁は写真のように黄色で赤い線が入ります。果実は長さ10cmになる棒状で、外側の殻はもろく、中に四角形で光沢のある種子を10個ほど含みます。種子の周りに暗赤紫色の果肉があります。この果肉は、干しアンズに似た味で、甘みもありますが強い酸味がします。
熱帯地方では、果肉を集めて固めた状態や莢のままで市場で売られています。これを砂糖水に入れて清涼飲料水にしたり、シャーベットやジャムにします。また、タマリンドの酸味とほのかな甘みは料理にも利用され、カレーやスープの調味料として使用されます。酸味は主に酒石酸によるもので、甘みは果糖によります。品種により甘味の強いものや酸味の強いものがあります。甘味の強い品種はおやつとして生食されることもあります。
種子を粉末にしたものは、小麦粉に混ぜてチャパティをつくったり、強力な接着剤にします。また、食品用の増粘剤として加工されジャムやゼリーに使用されています。若い葉や花にも酸味があり野菜として利用されています。
果肉は薬用とされ、胃や肝臓の病気に用いられます。果実の殻は、金属を磨いたり、染色に利用され、樹皮からはタンニンが採れます。材は、その色が暗赤色であるためマホガニーの代用として用いられます。さらに、樹形が美しいため熱帯の多くの地方で公園や街路に栽植されています。