BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

タイワンネム(マメ科)

Albizia procera (Roxb.) Benth.

タイワンネム

タイワンネムは、和名にはタイワンと付いていますが台湾に限らず、西はインドから東は中国南部、台湾までの南アジアおよび東アジア、さらに東南アジア(インドシナ、マレーシア)、オセアニア(ニューギニアおよびオーストラリア北部)に広く分布する高木です。アフリカの東部と南部、中央アメリカにも導入されています。

タイワンネムは生長の早い樹木で、高さ15mほどになります。当館の個体は狭い場所に植えられているのと、寄生植物ビャクダン(Santalum album L.)の宿主になっているために、あまり大きく育たないようです。樹皮は白色でコルク質です。葉は2回偶数羽状複葉です。枝の先端または葉腋に白色~黄緑色の頭状花序または円錐花序をつけます。日本のネムノキ(Albizia julibrissin Durazz.)と似た形で地味な色合いの花ですが、じっと眺めていると繊細な雄しべが趣深いように思われます。

タイワンネムは台湾では防火樹として利用されます。外皮のコルク層が厚いため、火災にあって枝葉が燃えても枯れずに、幹から新芽を生ずるためです。材は耐久性があり、建築や車両、枕木などに利用されました。日本には大正初年に渡来しています。