BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

シオン(キク科)

Aster tataricus L.f.

シオン

<乾燥根をシオン(紫菀)といい、漢方では鎮咳・去痰薬として用いる。>

シオンAster tataricum は、夏の終わり頃から秋にかけて鮮やかな青紫色の頭花をたくさんつけるので、庭先などにもたまに観賞用に植えられるキク科の多年生植物です。
朝鮮半島から中国北部、モンゴル、シベリアにかけて分布しますが、日本では中国地方を中心とした本州、九州の山間の草地などにも自生が見られます。日本には古い時代に薬草として伝わったらしく、『枕草子』や『源氏物語』にも登場する植物で、平安時代には観賞用とされていたようです。一般には中国では薬用とされ、日本ではむしろ観賞・切り花用として利用され、栽培もされているようです。
茎はまっすぐに延び草丈は1.5~2mほどにもなり、上方では枝が少数分かれます。根生葉は大形のへら状で楕円形をしていますが、茎葉は互生し、先がとがる長い楕円形となり鋸歯を持っています。
晩夏から晩秋まで比較的長い期間、枝先に径2.5~3cmの美しい青紫色の花を次々につけます。頭状花には長い柄があり、散房花序を形成します。
短い根茎をもちこの根茎から多数の細い根を出しますが、この根と根茎を乾燥した生薬「シオン(紫菀)」は、漢方や民間薬では鎮咳、去痰、利尿薬として用いられます。紫菀散、射干麻黄湯などに配合される生薬で、「シオン」として日本薬局方外生薬規格に収載されています。
成分としてはサポニンであるシオンサポニンやフリーデリン、シオノン、フラボノイドのケルセチン、精油成分のラクノフィロールやアネトールなどが含まれていることが知られています。
また中国では、これを軟紫菀と呼ぶ一方、同じキク科のオタカラコウやその近縁植物の根を硬紫菀あるいは山紫菀と呼んで同様に用いられます。