コミフォラ・アフリカナは西アフリカの低木林地帯に分布する小型~中型の木本です。属名Commiphoraはギリシア語の「kommi」(ゴム)+「phoreo」(産する)で、この仲間の多くから樹脂が得られることに由来します。科名のカンランは、漢字で書くと「橄欖」です。オリーブのことも「橄欖」と書くことがありますが、本来はカンラン科のカンラン(Canarium album)のことです。
コミフォラ・アフリカナの花は新梢の基部につきます。花の大きさは直径2mm、長さ5mm程度と非常に小さなものです。花弁は4枚で黄緑色です。
はじめにも書いたように、コミフォラ属の多くからは、樹脂が得られます。モツヤクジュ(Commiphora myrrha)やアラビアモツヤク(C. abyssinica)、C. opobalsamなどの樹脂は没薬(ミルラ)とし、C. mukulの樹脂はガムググル(gum guggul)と呼ばれて、それぞれ香料や薬用として利用されてきました。コミフォラ・アフリカナの樹脂はBdelliumと呼ばれ、ワニスの原料となります。当館のコミフォラ・アフリカナの幹に何度か傷をつけたことがありますが、乳白色の汁は出てくるものの、樹脂の固まりは得られませんでした。まだ木が幼いのか、栽培環境が原産地とかけ離れているので樹脂を生産できないのか、理由はわかりませんが期待するようにはうまくいかないものです。