コウシュウウヤク(衡州烏薬)は、九州南部から台湾、中国、東南アジア、ヒマラヤまで分布する常緑の低木で、日本では「イソヤマアオキ」とも呼ばれます。日本の暖かい地方に自生する植物ですが、京都でも戸外で越冬し開花、結実します。
葉は革質で3本の葉脈が目立ちクスノキやニッケイの葉に似ていますが、クスノキ科ではなくツヅラフジ科の植物です。日本にはアオツヅラフジ(Cocculus trilobus)など数種のツヅラフジ科植物が野生していますが、コウシュウウヤクだけが低木で、他はつる性の植物です。
コウシュウウヤクは雌雄異株植物で、写真のように雄花と雌花が別々の木に咲きます。花は黄色で小さくて直径2から3mmくらいしかありません。10個ほどの小さな花が円錐花序を作ります。ルーペで観察すると小さな花には6枚の萼と6枚の花弁があり、雄花には6本の雄しべが、雌花には6本の退化した雄しべと3本の雌しべがあります。果実は1年後に黒く熟します。
中国では根や全株を薬用とし、高血圧、頭痛、痛風に用います。漢方で「烏薬」の名で知られる植物はクスノキ科のテンダイウヤク(天台烏薬:Lindera strychnifolia)のことで、コウシュウウヤクとは別の植物です。