BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

グレイイア・ステルランディイ(フランコア科)

Greyia sutherlandii Hook. et Harv.

グレイイア・ステルランディイ

<ナタールのボトルブラシ グレイイア・ステルランディイ >
(下記の記述は2006年当時のものです。2021年時点のAPG IVではフランコア科(Francoaceae)に含まれます)

グレイイア科は南アフリカに分布する小さな科で、Greyia 属の 3 種からなります。これらの植物は 19 世紀に発見され、当時の南アフリカケープ地方の総督であった Sir George Grey に敬意を表して、属名が名づけられました。グレイイア・ステルランディは生長すると高さ 4~5 m の低木になり、春には赤い花が多数集まった、長さ 10 cm ほどの総状花序をつけます。おしべやめしべが長く突出しており、写真ではまだ咲き始めですが、すべて咲きそろうとブラシのように見えます。それゆえに、この植物は南アフリカの原産地にちなんで「ナタールのボトルブラシ( Natal bottlebrush )」とよばれます。ナタール地方は南アフリカの首都ヨハネスバーグの南東に位置します。この科についてはまだ不明な点が多く、利用されたことがないようですが、園芸植物として期待されている種もあるようです。

当館のグレイイア・ステルランディイは、 2001 年にイタリアの植物園から種子導入を行いました。春に播種すると 2 ヶ月ほどで発芽し、順調に生育しましたが、夏の高温時期に西日にあたると、次々と弱って枯死してしまいました。この植物は日当たりを好むのですが、山地に分布するため、高温に弱い性質を持っています。そこで、夏が来るたびに、朝日があたり、しかしながら直接西日のあたらない場所へ鉢を移動させました。そしてようやく 2006 年 5 月、初開花しました。ちなみに当館では Greyia 属の三種のうちもう一種、グレイイア・フラナガニ( Greyia flanagani Bolus )も栽培しています。こちらは地中海性気候植物です。いつ花を咲かせてくれるか楽しみです。