BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

キマメ(マメ科)

Cajanus cajan (L.) Huth

キマメ

<種子(キマメ)はインドなどの熱帯では食用として利用される。>

日本ではあまり食べる機会はありませんが、インドを主とする熱帯地方で、カレーやスープの食材としてごく普通に利用される豆にキマメ(樹豆・木豆)があります。

キマメは、熱帯性で乾燥に強いマメ科の多年生低木で、3~4mほどの樹高になります。葉は3枚の小葉からなっていて、1つの小葉は、長さ5~10cmほど、幅1~4cmほどの細長い披針形で、両面に毛があります。葉の腋から総状花序を出して、写真のような直径1cmほどの鮮やかな黄色か、花弁に赤紫色の縞のあるマメ科特有の蝶形花をつけます。当館では鉢植え程度の個体しかありませんが、温室内で栽培可能で開花も見ることができます。
長さ4~10cm、幅ほど6~15mmほどの莢ができ、直径5mmほどの球形の種子(マメ)ができます。
原産地はアフリカともインドとも言われていますが、近年は最も近縁種のC.cajanifoliaの自生するインドの東部が原産地と考えられています。
現在では新旧両大陸の熱帯から暖帯までの半乾燥地帯に広く栽培されており、310万トンに及ぶとされる世界生産量の80%がインドで栽培されています。
種子はタンパク質に富み、食用とされるほか、高い窒素固定能力を持つので緑肥としても利用され、また家畜の飼料にもされます。木質の茎は垣根や屋根を葺く素材などとしても利用されています。

また、根、葉、花や種子を薬用として利用する国もあり、中薬大辞典では木豆として、水腫、痔瘡出血やできものなどに内服し、炎症や腫脹などに外用することとが紹介されています。

また、近年では初めて全ゲノムが解読されたマメ科植物としても話題となりました。