BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

キクランテラ・ペダタ(ウリ科)

Cyclanthera pedata (L.) Schrad.

キクランテラ・ペダタ

<ペルーやボリビアで食べられるウリ科の野菜>

ウリ科キクランテラ属は、南北アメリカの温暖な地域にのみ分布する一年生あるいは多年生のつる性植物で、約30種が知られています。中でもバクダンウリ(C. brachystachya リンク)は果実が熟すと爆弾のように破裂して種子を飛散させるのが特徴で、キクランテラ属の和名もバクダンウリ属と呼ばれます。

今回はそのバクダンウリ属のキクランテラ・ペダタ(C. pedata)を取り上げます。

この植物は中央アメリカのカリブ海地域の原産と考えられており、メキシコからボリビアにかけての地域で栽培されています。垣根の緑化植物として用いられたりもしますが、ペルーやボリビアでは野菜として食用とされます。

草丈3~5mほどになる無毛の一年生のつる性植物で、分岐する巻きひげを伸ばして周囲の植物に巻きつき広がります。葉は鳥の足のように広がった形をしており5~7片の裂片に分かれ、各々の裂片は卵形被針形で鋸歯を持っています。

花は写真のように白色、単性で雌雄同株で、雄花は円錐状の花序になり、雌花は単生します。果実は10~15cmほどの長さになり、熟するとやや白っぽくなりますが、ししとうを大きく太くしたような形になります。果実の中には種子を包みこんだ海綿状の白い内部組織がありますが、ししとうやピーマンのように空洞になっています。

この果実をちょうどピーマンのように、生食にしたり、中の海綿状の果肉と種子を取り除いて挽肉などの具をつめて調理して、野菜として食べられます。このため英語ではstuffing cucmber (詰めきゅうり)と呼ばれます。

果実を食用にするばかりでなく、ペルーでは、種子を高血圧や虫くだしに用いたり、葉をお茶にして糖尿病に、また果実の搾り汁を高コレステロール血症、高血圧、動脈硬化、循環器障害、糖尿病や利尿などに民間薬的に利用されることが知られています。