BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

カルドン(キク科)

Cynara cardunculus L.

カルドン

カルドンは地中海沿岸を原産とする多年草です。アーティチョーク(チョウセンアザミ、Cynara scolymus L.)の原形とも言われます。

カルドンは長さ50cmほどの深い鋸歯のある根生葉を広げます。葉の裏に白毛があり、鋸歯は鋭い刺状になります。花茎を数十cmから2mくらいまで伸ばし、アザミのような青紫色の花を付けます。カルドンの花(主に雌しべ)の青紫色は、梅雨空の曇天に映えて輝くような美しさです。

先にアーティチョークの原形と書いたように、カルドンとアーティチョークはよく似ています。図鑑等ではカルドンには葉柄に棘があるというのですが、当資料館で長く栽培していたカルドンには小さな棘しかありませんでした。ヨーロッパ各地の植物園からカルドンと称する種子を入手し、栽培してみましたが棘の大小は様々で、当資料館の刺無しのカルドンとよく似たものもありました。その中で、最もトゲトゲとしていたものが今回紹介した株です。このように各地のカルドンを集めてみますと、カルドンとアーティチョークの変化は連続的で、別の種として区別して良いのか疑問が生じます。いずれ、この分類群の専門家に聞いてみたいものです。

カルドンもアーティチョークと同じように花托の部分を茹でて食用できます。また、花には酵素が含まれ、ヤギの乳を固めてチーズを作るのに使われたと言うことです。