BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

オニサルビア(シソ科)

Salvia sclarea L.

オニサルビア

<種子を目薬に用いたオニサルビア>

オニサルビアは南ヨーロッパや中東原産の二年草で、現在では精油を採るためにフランスやロシアで栽培されています。葉から採る精油は香り付けや薬用にされ、薬用酒やリキュールの製造にも用いられます。また、葉はフリッターにしたり、スープに入れたりして食べます。オニサルビアの英名はクラリーセージ(Clary Sage)といい、ハーブガーデンによく栽植されています。

サルビア(Salvia)の仲間はヨーロッパでは昔から薬用や鑑賞用として広く栽培されています。属名のSalviaは「癒す」を意味するラテン語salveoからきています。オニサルビアの種子は古くから眼の薬として用いられてきました。まだ医療も発達していない時代、種子を丸ごとまぶたの下に入れ、落ちるまで放っておくという方法で目薬として用いられたことがあるようです。目薬としてはかなり痛いものです。この種子(正確には果実)は水に浸けると粘液を生じ、この粘液が眼の中の異物を取り除くといわれています。このような経緯から、この植物の別名はClear eyeともいいます。

当館では昨年の早春に播種し、1年越しの今年の4月には1m以上に成長して蕾が現れました。このつぼみは最初垂れ下がっており、最初は違う植物かと思ったほどでしたが、花が咲くと立ち上がってきます。そして6月初旬に50 cmほどの見事な花序で、淡紫色の花を咲かせました。