BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

アメリカバンマツリ(ナス科)

Brunfelsia americana L.

アメリカバンマツリ

アメリカバンマツリは西インド諸島原産の低木です。バンマツリ属(Brunfelsia)は中南米に40種ほどありますが、本種が最も早く1753年に記載されたので種形容語がamericanaとなっています。ところで山科植物資料館には3000種を超える植物を栽培しているので、際立った特徴もなくあまり開花もしない植物はラベルが正しいのかわからないままのものもあります。今回紹介する植物も当初はアキー(Blighia sapida K.D.Koenig)のラベルが刺さっており、久々に開花したので「今月の花」にしようと周辺情報を調査してみるとアキーとは全く異なり、あちこちを調べてようやくアメリカバンマツリだとわかったものです。1995年に種子を導入してから、20年以上放置されていたことになります。この間も枯らすことなく栽培を続けてきた温室担当者に感謝です。

アメリカバンマツリは英名を「Lady of the Night」と呼び、夜間には芳香を放つそうですが昼間は全く香らないため、どのような香りなのかはわかりません。花色ははじめ白色で、数日をかけて淡黄色になります。アメリカバンマツリの花冠は基部の筒状部が長く特徴的です。花の正面から見ると花弁が薄く縁が波打つところは同じ属のバンマツリ(B. uniflora)やニオイバンマツリ(B. australis)に似ています。

アメリカバンマツリは観賞用に栽培されるだけで他の利用法は知られていません。同属のバンマツリやB. grandifloraは関節炎やリューマチ、発熱などに用いられるそうです。