BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

アクタエア・ラケモサ(キンポウゲ科)

Actaea racemosa L.

アクタエア・ラケモサ

アクタエア・ラケモサは北米の東南部が原産のやや大形の多年草です。従来Cimicifuga racemosa (L.) Nutt.の名前で知られており、日本では旧属名のローマ字読みで「シミシフガ」、「シミシフーガ」、「キミキフガ」などと呼ばれています。また英名の「Black cohosh」から「ブラックコホシュ」とも呼ばれます。旧属名のCimicifuga(サラシナショウマ属)はラテン語の「cimex(南京虫)」+「fugo(退ける)」で、中国原産のショウマ(Cimicifuga foetida L.)の根が大変臭く、虫除けに使われることからリンネが名づけたものです。ちなみに現在の学名Actaea(ルイヨウショウマ属)はギリシャ語でセイヨウニワトコを意味します。

アクタエア・ラケモサは日本の山野に自生する旧属名のサラシナショウマ(Cimicifuga simplex (DC.) Wormsk. ex Turcz.)とよく似た姿をしています。根出葉は2回奇数羽状複葉で鋸歯があります。花序は高さ1~2.5mまで伸びて総状になります。花弁萼片は開花時に脱落してしまい、長さ5mmほどの淡白色の雄しべが目立ちます。

アクタエア・ラケモサは観賞用に栽培されるほかに、根を薬用とすることが知られています。アメリカ先住民は根を女性の不調、特に月経痛や更年期障害に用いていました。現在では欧米で広く利用されて月経前症候群、男性機能の改善、更年期障害の緩和などのうたい文句で販売されています。一方で欧米ではブラックコホシュ摂取との関連が疑われる肝機能障害の事例が報告されており、日本でも2006年8月に厚生労働省から注意喚起が行われました。記載の用量を守るとともに、長期服用を避ける(ドイツのCommission Eを参考にすれば上限6か月)ことが肝心です。