BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

アカキナノキ(アカネ科)

Cinchona pubescens Vahl

アカキナノキ

アカキナノキは、高さ30m以上にもなる成長の速い高木で、樹皮が赤みを帯びるためこのように呼ばれています。花(花冠)は、白または淡紅紫色です。当館では写 真のように白い花が開花しました。

キナノキ属植物は南米熱帯アンデス山脈の原産で、アカキナノキを含む数種の樹皮にマラリア特効薬のキニーネQuinineが含まれています。「キナ」の名前は、インカの言葉で「熱を防ぐ皮」を意味するKina-kina、Kinkinaに由来します。また、学名の「Cinchona」は17世紀のペルー駐在スペイン総督Chinchon伯爵夫人の名に因みます。伯爵夫人がペルーで熱病に罹った際、現地で利用されていたキナ皮を服用することで急速に快復した逸話より、リンネが命名したといわれています。

18世紀以降、マラリア特効薬としての評価がヨーロッパで高まると野生のキナノキの資源が枯渇し、南米の産地からの輸入が難しくなりました。熱帯地方進出を企てるヨーロッパ列強各国にとって、キナ皮はマラリア対策として欠くことのできないものであったため、各国は競って自国植民地での栽培化を検討しました。オランダがジャワ島での栽培化に成功し、世界のキニーネ市場を独占しました。現在でも90%のキナ皮がジャワ産といわれれています。

アカキナノキの樹皮はキニーネ等のアルカロイド含量が一定していて、かつて日本薬局方に収載されていた「キナ皮」は本種を対象としていました。キナ皮はマラリア薬以外にも、強壮剤、苦味健胃剤や解熱鎮痛剤に用いられます。