BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ユチャ(ツバキ科)

Camellia oleifera C.Abel

ユチャ

ユチャは中国からインドシナ半島に分布する低木です。漢字で油茶と書くとおり、種子から油をとるために栽培されます。アブラツバキという別名もあります。

ユチャの花は5~7枚のやや細い花弁をもち白色です。野山に自生するヤブツバキやチャノキに親しんだ目で見ると、野生種であることを割り引いても貧相に思えます。同時期に咲くサザンカとは良く似ているとされており、かつては同種と考えられたこともありました。世界有用植物事典によると、ユチャの芽鱗片は有毛であるとか、葉が革質であるとかで区別できるそうですが、当館栽培のサザンカ(白花、桃花、赤花)とこれらの点を比べても違いが分かりませんでした。しかしサザンカをさらによく見ると花色によって毛の多さに違いがありました。赤花や桃花は毛が多いのですが、白花は少ないのです。ですからきちんと比較するには様々な種を交配した園芸種のサザンカではなく、野生のサザンカを入手しなければなりません。

ユチャは油を取る目的で古くから中国で栽培されていました。種子には油を30%以上含み、食用または工業用に用いられます。中国では花、種子、種子の油を取った搾りかす、根などを薬用として鎮痛、止血に用いたり、やけどに塗布したりします。日本では成分名「ユチャ種子油」としてさまざまな化粧品(シャンプー、ボディクリーム、リップクリームなど)に利用されています。また葉のエキス(ユチャ葉エキス)も化粧品に配合されています。欧米では観賞用のカメリアの育種親として用いられます。寒さに強いことから1970年代終わりから1980年代にアメリカで耐寒性の種間雑種が作出されました。
ユチャ (左) とサザンカ (右)