BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

シンゴナントゥス・クリサントゥス(ホシクサ科)

Syngonanthus chrysanthus (Bong.) Ruhland

シンゴナントゥス・クリサントゥス

シンゴナントゥス・クリサントゥスはブラジル原産のおそらく多年草です。おそらく、というのは確たる証拠が見つからなかったためで、ホシクサ科の植物は情報が少なくよくわからないものが多いのです。日本国内に生息するホシクサ科のほとんどは1年草で、毎年栽培するにはきちんと播種したり、こぼれ種子の実生を注意深く保護したりする必要があるのですが、多年草であれば枯らさない限りは消滅する心配がありません。そのような訳で、山科植物資料館でホシクサ科を維持していくために少し重要な植物です。

シンゴナントゥス・クリサントゥスはロゼット状に葉をつけ、葉の長さは3cmほどです。中央から数本の花序を出し、高さ20cmを超える先端に1つの頭花をつけます。頭花の直径は1cmほどで小花はさらに小さく、1つ1つの小花の構成はよくわかりません。朝日百科「植物の世界」によれば、単性花で雄花と雌花は同じ花序につき、雄しべは3本、花被片は筒状に合着するそうです。

情報の少ないホシクサ科植物ですが、独特の形態をしていることから観賞用に栽培されます。日本のシラタマホシクサやクロホシクサは山野草の専門店で売られています。このシンゴナントゥス・クリサントゥスも「シンゴナンサス」の商品名で園芸店で売られていることがあります。ヨーロッパには‘Mikado’という園芸品種もあります。野生種との違いはよくわかりませんが、写真を見ると野生種より大きく、頭花が黄色に見えるところに特徴があるようです。シンゴナントゥス・クリサントゥスの栽培は、ピートモスの単用またはピートモスと川砂を混ぜたものに播種し腰水で管理。最低気温は10℃以上で可能ならば20℃以上。京都の夏の暑さには耐えました。開花には播種から2年かかりました。