BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

シロバナムシヨケギク(キク科)

Tanacetum cinerariifolium (Trevir.) Sch. Bip.

シロバナムシヨケギク

蚊取り線香に使われるジョチュウギク「除虫菊」として知られています。バルカン半島原産の多年草です。葉は2から3回羽状に深く裂け、茎とともに白い毛があります。初夏に長い花柄の先に直径3cmの白色の花をつけます。

開花時期に花を摘み取り乾燥したものが「除虫菊花」で、殺虫成分のピレトリンpyrethrin類を約1%含んでいます。これを粉末にして蚊取り線香、ノミ取り粉や殺虫剤の原料とします。日本へは明治のはじめに導入され、北海道をはじめ各地で生産されていました。昭和の初めには世界一の生産量を誇り、当時の重要な輸出品でした。現在ではケニアが世界一の産地です。

ピレトリンは昆虫類に対しては強力な運動神経麻痺作用を示しますが、ヒトや家畜には毒性が低いことが特徴です。ピレトリンをモデル化合物として合成ピレスロイド、アレスリンやレスメスリンなどが開発されています。