広く世界の熱帯に分布する多年草で、水上に浮かんで繁殖します。その様子から、「牡丹浮草」や英名の「ウォーターレタスwater lettuce」「ウォーターキャベツwater cabbage」と呼ばれています。最近では園芸コーナーでよく見かけるようになりました。
ボタンウキクサ(Pistia)属はサトイモ科に分類されていますが、1属1種からなる変わりものです。その水上生活のとおり、植物系統進化的にもウキクサ科に近いと考えられています。
葉はレタスのようにロゼット状につき、ビロード状の細かい毛に被われています。その毛で水をはじくようです。葉の付け根から周囲へ細い枝を伸ばし、その枝先に子株ができて、繁殖していきます。繁殖力は旺盛で、当館の池は夏を過ぎるとボタンウキクサとホテイアオイで埋め尽くされてしまいます。国内の暖地では越冬し、繁殖しすぎてホテイアオイと同様に、農漁業への影響、航行妨害や生態系への影響など帰化植物として問題になっている地方もあります。
写真のように約1cmほどの薄緑色の目立たない小さな花が葉の間につきます。小さいながらもサトイモ科の特徴である仏炎苞を持つ花です。
東南アジアでは、葉を食用とします。また、中国では葉を薬用とし、発汗作用、利尿作用があるとされ、感冒や排尿困難に用いられています。
※2006年2月、ボタンウキクサは「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」の特定外来生物に指定されましたので、国内での栽培が禁止されています。当資料館でも現在は栽培していません。