スティロバシウム・スパツラツムはオーストラリア北西部に広く分布する高さ 0.5 ~ 2.5 mの小潅木です。長楕円形で厚手の葉を互生します。花は枝の先端部の葉腋に 1 ~数個つけます。
花はたいへんおもしろい形をしていて、蕾(つぼみ)の段階で閉じた濃い赤色の花弁のように見えるのは雄しべの葯(やく)です。はっきりした花弁は存在せず、萼(がく)のようなものが花の基部に鱗状に並んでいるのみです。蕾の段階で花の中身が見えてしまっているので、どの段階で開花と言えるのかはっきりしません。雄しべが伸びてきて、葯が糸でぶら下がったように見える時が開花でしょう。これからさらに数日すると、葯が縦に割れて中から黄色の花粉が出てきます。雄しべに隠れてよく見えませんが、花の中心部には1つの雌しべがあります。
スティロバシウムは分類がはっきりしておらず、分類の専門家ではない私たちにはやっかいな植物の一つです。最近ではスリアナ科 (Surianaceae) に属するという意見が大勢を占めていますが、独立のスティロバシウム科 (Stylobasiaceae) やムクロジ科 (Sapindaceae) に含める見解もあります。