ナガボノウルシはアジア、アフリカの熱帯が原産で、現在は全世界の熱帯の水田や湿地に生息する1年生草本です。ナガボノウルシ科は1属2種で、このナガボノウルシとアフリカ西部のS. dalzieliiだけが知られています。ナガボノウルシ科はキキョウ科に近縁とされてきましたが、最近の分子生物学的研究ではヒルガオ科に近いと考えられています。
ナガボノウルシの花序は茎の先端に穂状につきます。個々の花は小さく直径3mmくらいです。花弁は5枚ありますが、全開しないのでいつ咲いたのかわかりにくいおもしろい花です。写真の花もこれで開いた状態です。花は下から順に開き、上の花が咲く頃には先に咲いた下の花は果実が熟して多数の種子をとばします。
東南アジアでは非常に繁茂する有害な水田雑草で、日本でも帰化植物として1960年頃から熊本で確認されました。しかし、本州へは分布を広げておらず、当館の温室でも勝手に増えたりはしません。栽培している感じでは発芽に高温を要するようなので、日本の雑草との競争に勝てないためではないかと思います。また、アレロパシー物質が知られており、ナガボノウルシの鉢内には他の雑草は生えないようです。中国では生の茎葉をつぶして患部に塗り、腫れ物や傷の治療に用います。