サルウィア(サルビア)・アピアナはアメリカ合衆国のカリフォルニア州南西部に分布する低木状の多年草です。葉や茎が白く見えることからホワイト・セージ(White Sage)という呼び名で知られています。
サルウィア・アピアナの葉は長さ15cmほどの楕円形で小さな鋸歯があり両面に細かな毛が生えています。1mくらいまで伸びた茎の先端に1m近い花茎を伸ばし先端に花を付けます。サルウィア・アピアナの花はよく観察すると奇妙な形をしています。普通は下向きの舌弁(セージの写真を参照)が、サルウィア・アピアナでは根元から上向きに折れ曲がっているので、筒状の花の口がふさがれています。そしてこの舌弁の隙間から2本の雄しべと1本の雌しべが向かって右に1本、左に2本飛び出しています(人間の美的感覚からすると左右2本ずつ出ている方がバランスがよいように思いますが、植物にとってはあまり関係のないことです)。
サルウィア・アピアナには同属のセージ(Salvia officinalis)をさらにきつくしたような香りがあり、インディアンはこの葉を燃やして宗教儀式における聖なる香としたそうです。またこの煙霧は防腐剤とされました。他にも、カフイラ族インディアンは狩猟の際に猟師が腋の下につぶした葉を塗り、体臭を消して動物から発見されないようにしたということです。薬用としては、葉を食べたり燃やした煙にして、またはsweathouse(インディアンの用いたサウナのような施設)で使用して風邪に用いたり、ヘアシャンプーにして皮膚病に用いたり、生理中の女性が偶発的に狩猟具に触れてしまった時に、悪運をはらうのに使われたりしました。食用としては葉をトウモロコシ粥の香り付けにしたり、炒った種子をコムギ粉とともに碾いて粥を作ったりしました。