BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

コウトウタチバナ(ヤブコウジ科)

Ardisia elliptica Thunb.

コウトウタチバナ

コウトウタチバナ(別名ウミベマンリョウ、セイロンマンリョウ)はインド南部からマレーシアにかけ中国南部、台湾に分布する低木です。和名別名のウミベマンリョウの通り、干満のある湿地に生息します。この種やお正月にかざられるマンリョウ、センリョウ、ヤブコウジ(十両)などで知られるヤブコウジ科は、新しいAPG分類体系ではサクラソウ科に含まれます。そう言われれば、温室の通路をはさんだ向かい側で咲いているモロコシソウ(サクラソウ科)の花とよく似た形をしています。

コウトウタチバナの花は枝先近くの葉柄に付きます。花弁は五裂しピンク色で直径1cmくらいです。雄しべは雌しべの回りに合着します。合弁花なので咲き終わった花弁はひとまとまりに落下します。光沢がありやや半透明のピンク色の花はなかなか美しいものです。果実も直径1cmくらいで始めはピンク色で熟すと黒紫色になります。

コウトウタチバナの葉はマレー地域では心臓の痛みに用いられます。若い葉は食用となり、インドでは枝葉を稲田の肥料とします。一方で、国際自然保護連合(IUCN)の世界の外来侵入種ワースト100に含まれ、外来生物法の要注意外来生物に指定されており、栽培にあたっては逸出しないように注意が必要です。