タイ料理に使われる熱帯アメリカ原産の香味野菜 オオバコエンドロ
東南アジアの料理に欠かせない香味野菜にパクチーがあります。この植物はセリ科のコエンドロ( Coriandrum sativum L. )で、葉を利用します。また、種子はスパイスのコリアンダーで、カレーなどに利用されます。コエンドロの葉の強い臭いは、カメムシ臭さを連想させ、日本人はなじめない人が多いような気がします。しかしながら、東南アジアの人にとっては、料理になくてはならない香味野菜です。
同じセリ科植物にオオバコエンドロがあります。大葉香菜やタイパセリなどとよばれるこの植物は、草丈は 10 − 50 cm の多年草で、葉辺にとげのある葉が特長です。若葉にはコエンドロとよく似た強い臭いがあり、薬味として、スープや料理の添え物として利用されます。写真はタイのチェンマイの市場で売られているものです。また、日本でも少量ながらも流通し、タイ料理に使用されています。
東南アジアでは香味野菜として知られているオオバコエンドロですが、実は熱帯アメリカ原産です。現在、帰化植物として熱帯、亜熱帯に広く分布しています。おそらく、この植物の葉がパクチーと同じような香味があることに気づき、栽培するようになったのでしょう。オオバコエンドロはタイ語でパクチーファラン( Phak chii farang )といいますが、 farang は「西洋の」を意味し、外国から来たパクチーという意味になります。