BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ロウバイ(ロウバイ科)

Chimonanthus praecox (L.) Link

ロウバイ

厳寒の時季に可憐な花を咲かせるので好んで植栽される植物に蠟梅(ロウバイ)があります。中でも花が黄一色である園芸品種の素心(そしん)蠟梅は、特にお正月の花としても親しまれるようです。この時季に咲くことから蠟梅は晩冬の季語にもなっており、またその名は花弁が半透明で蠟細工のように美しく、かつ蠟月(陰暦12月)に梅のようなよい香りの花を咲かすことに由来するといいます。
中国原産ですが日本には17世紀に朝鮮半島から渡来したといわれています。
樹高は2~4mほどになる落葉低木で、葉は対生し長さ10~20cm、長楕円形あるいは卵状楕円形で先は尖り短い柄があります。表面はざらつき葉脈が裏面に突出しています。花の時期は12月~2月頃で、葉が出る前に花を咲かせよい芳香を持つのが特徴です。
中国では花を愛でるばかりでなく花蕾(蠟梅花)を薬用としても使い、鎮咳・解熱・鎮痛薬として利用されることが知られています。また花蕾を浸した油は火傷に効果があるとされています。
芳香のある花にはシネオール、ボルネオール、リナロール、カンファー、ファルネソール、テルピネオールやベンジルアルコールなどの精油成分が含まれるほか、アルカロイドのカリカンチンやイソカリカンチン、フラボン類が含まれています。
また根および茎を鉄筷子(てつかいし)といい打撲傷、リウマチ痛の鎮痛や鎮咳に利用できることが中葯大辞典にみえます。