BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ムサ・ウェルティナ(バショウ科)

Musa velutina H.Wendl. et Drude

ムサ・ウェルティナ

ムサ・ウェルティナは中国南部のアッサム原産のバナナです。以前に小形のバナナとしてサンジャクバナナ(2005年11月の花)を紹介しましたが、ムサ・ウェルティナは地植で栽培しても高さ1.5m前後までしか育たない、さらに小形のバナナです。

ムサ・ウェルティナの花序はまっすぐ上を向けて花を咲かせます。苞の外側は薄い桃色、内側は濃い紅色となるため、開くと非常に綺麗なものです。一枚の苞の内側には黄色の花が2~5個並びます。果実は赤紫色で鑑賞価値の高いものです。果実には多数の種子が入ります。このため果肉はほとんど無く、バナナの味はしますがアケビのような食感で、食べる価値はあまりありません。熟した果実は自然に皮がむけて中身が現れ、これも普段目にするバナナにはない、おもしろい特徴です。

ムサ・ウェルティナは、花序が現れてから開花、果実の完熟まで長い期間に鑑賞することができるため、温室でよく栽培されるバナナの一つです。さらに、関東以西の暖地では防寒すれば屋外で越冬させることもできます。