BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ビャクダン(ビャクダン科)

Santalum album L.

ビャクダン

1995年の4月、台湾の植物園から「ビャクダン」の種子を入手しました。扇子などで有名な香木「白檀」の原料植物です。

今年(2002年)、この植物が、初めて開花しました。花は鐘形で、初め淡黄色で後に紫紅色に変わります。ビャクダンは香料植物として有名ですが、花には香気がありません。日本では、ビャクダンを栽植している植物園は少なく、従って、このような花を見る機会は、あまりないと思います。

この植物は、半寄生植物で、発芽後約1年間は、自力で生活できますが、その後は、寄生根を出して他の樹の根に寄生して生活します。もし、適当な寄主が近くにないと、その植物は枯死します。寄主には、「モクマオウ」や、「インドセンダン」、「アカシアの類」がよいといわれています。当館では、発芽した幼植物をアカシアに近縁の「タイワンネムノキ」のそばに植えて育成しました。幼植物は、この寄主が気に入ったのか、その後、順調に生育し、1996年1月には、寄主もろとも大温室へ移植しました。その後も順調に生育し、今では寄主の「タイワンネムノキ」よりも大きくなり幹も太く生長しています。

ビャクダンの辺材は、白色で芳香はありません。しかし、心材は黄褐色で強い芳香を放ちます。いわゆる「白檀」と呼ばれている香木は、この心材のことです。根の心材は、特に香気が強く珍重されます。材質は堅く緻密で光沢があります。扇子のほか、仏像や宝石箱、彫刻、高級棺材などに使われます。材には、3~5%の精油が含まれています。これを水蒸気蒸留して得たものを「白檀油(Sandal oil)」と呼んでいます。主成分は「サンタロール」や「サンタレン」で、香料として利用されます。心材の粉末や薄片も、線香や薫香料に用いられます。「白檀」の香気は、なかなか消えず、古い材でもよく匂うことが特徴です。

ビャクダンは、インドやインドネシアの乾燥した地域に分布し、栽培されています。中国やインドネシアでは薬用としても利用されます。
タイワンネムに寄生させたビャクダン

ビャクダンの果実 (インドで撮影)