BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ビブリス・リニフロラ(ビブリス科)

Byblis liniflora Salisb.

ビブリス・リニフロラ

<レインボープランツと呼ばれるオーストラリアの食虫植物>

ビブリス科は、ビブリス(Byblis)属とロリドゥラ(Roridula)属の2属からなりますが、この植物の属するビブリス属には現在までに7種が知られています。いずれもオーストラリアの北部を中心とする一部、南インドネシアやパプアニューギニアに分布しています。かつては、ビブリス・リニフロラ(Byblis liniflora)とビブリス・ギガンテア(Byblis gigantea)の2種でしたが、最近ではこの2種に近縁な種が見つかり7種数えられています。

ビブリス属の特徴は、糸状もしくは細長い狭い披針状の葉を持ち、この葉の全面にびっしり線毛が生えていて粘液を分泌します。この粘液の滴が太陽の光を受け、うす緑色の葉とあいまって虹のように美しく見えることからレインボープランツとも呼ばれます。

小さい昆虫がとまるとこの粘液に捕まってしまいます。以前は、昆虫を溶かす消化酵素がなかなか見つからなかったので自力で消化することができないとされて、食虫植物から除外されたこともありました。しかし近年粘液中に消化酵素が含まれていることが分かって、立派な食虫植物と認められているそうです。

ここで取り上げた、ビブリス・リニフロラは1年草でせいぜい10cmほどのもので倒れやすく横に這うように見えます。写真のような径10mmほどの鮮やかな青紫色の花をつけます。花が終わると長さ数mmの2室にわかれた繭型の果実をつけ、熟してはじけると多数の小さな黒い種子が飛び散り、かなりよく発芽して増えます。

また、ビブリス・ギガンテアは草丈50cmほどにもなる多年草で紅紫色の2~3cmの花をつけるそうですが、当館ではまだ栽培に成功していません。いつかこの2種のビブリスの花を並べて咲かせてみることができればと思っています。