BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ヒメノウゼンカズラ(ノウゼンカズラ科)

Tecomaria capensis (Thunb.) Spach

ヒメノウゼンカズラ

<南アフリカ原産の庭園植物>

ノウゼンカズラ科ヒメノウゼンカズラ(Tecomaria)属は、東および南アフリカに1~3種が知られますが、今回のヒメノウゼンカズラは南アフリカ原産で、その鮮やかな赤橙色の花が観賞用として、生垣やグランドカバーに利用されるようになってきました。

高さ2m半ほどになり、ややつる性の常緑植物で、日本でも九州などの温暖な地方では露地でも越冬でき、挿し木や取り木で容易に増える繁殖力の強さを持っています。

葉は奇数羽状複葉で対生し、小葉には鋸歯があります。花期は夏から秋で、十個ほどの花が枝先に総状につきます。写真のように、花は赤橙色の細いロート状唇形の花冠で長い花筒を持ち、長い雌しべと4本の雄しべは花冠から外に飛び出しています。

いくつかの園芸品種も作られていて、黄色の花を咲かす”オーリー”や赤色の園芸品種”アプリコット”などが知られています。

花の形がスイカズラと一見よく似ているせいか、英語ではケープ・ハニーサックル(Cape honeysuckle)と呼ばれています。(ハニーサックルとはスイカズラを含むスイカズラの園芸種一般をさす英名です。)

このように鑑賞用に優れた植物ですが、原産地のアフリカでは、この植物の樹皮の粉末を肺炎などによる高熱、胃腸の不具合、歯茎の出血の止血などに用い、痛みを緩和し安眠に良いとされています。また、葉の煎じ汁を下痢や腸炎に用い、薬用としても利用されているようです。