BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

セイヨウエビラハギ(マメ科)

Melilotus officinalis (L.) Pall.

セイヨウエビラハギ

<乾燥地上部をメリロートといい、薬用とされる>

セイヨウエビラハギ(Melilotus officinalis)は、ユーラシア大陸、北米に広く分布し、乾燥地帯や荒地に生育する、草丈100~150cmほどになるマメ科の越年草です。Melilotus属の植物はスイートクローバーと呼ばれるほど、世界的にみるとは乾燥用牧草や緑肥として利用されています。この植物は、葉は3小葉を持つ複葉で、小葉は長さ1.5~3cmほどの先の尖らない狭長楕円形で周りには鋸歯を持っています。夏に葉腋から写真のような3~10cmの総状花序を伸ばし、4~6mmほどの黄色い蝶形花をたくさんつけて、よく目に付きます。
乾燥した全草(地上部)をヨーロッパではメリロートという生薬として、古くから内服あるいは外用で、静脈瘤や痔などの症状に用いられてきた植物で、消炎、収斂、鎮静薬として利用されます。
成分として、クマリン、クマル酸、メリロート酸のほかフラボノイドやサポニンなどを含みます。
クマリンを主成分とするので、乾燥すると芳香を放ち、グリエールチーズの香り付けやタバコの香料としても利用されます。かつてはビールの香り付けのためにも利用されました。
公定書では、「メリロート」および「メリロートエキス」が日本薬局方外生薬規格に収載されていて、とり過ぎると健康被害を起こすクマリンの量が規定されています。