BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

シャボンノキ(シャボンノキ科)

Quillaja saponaria Molina

シャボンノキ

シャボンノキ(キラヤ)は南米チリ原産のバラ科 (APG分類体系ではシャボンノキ科、別名キラヤ科) の高木です。生長が早く、高さ 50cm の苗を地面に植えて 3 年ほどで 4m を超えました。原産地では 20m にもなります。常緑で葉は固くつやがあります。春に新梢を伸ばし、その先に花をつけます。花は白色で、よく見るとおもしろい形をしています。白い花弁の根本に 5 本の雄しべが、その間の雌しべの根元にも 5 本の雄しべが、つまり互い違いに 10 本の雄しべが並んでいるのです。

和名のシャボンノキ、学名の saponaria( 石鹸のような ) 、英名の Soap-Bark Tree からわかるように、植物体内に起泡性のあるサポニン ( キラヤサポニン ) を含んでいます。このため、樹皮や葉を粉砕して水に溶かすと石鹸のように泡立ちます。商業的にはカリフォルニア南部で大規模に栽培されています。一方で、原産地では乱伐が進み、 30m を超える巨木はめったに見られなくなってしまいました。代わりに、切り株から生えてきた潅木を利用しています。このようにして集められた樹皮からは、清涼飲料の発泡剤、写真フイルムの感光剤原料、シャンプーや石鹸など様々な製品が作られます。特にシャンプーには、ふけ予防や毛髪の成長促進の効果があるといわれています。また、サポニンを含む他の植物と同じように、去痰剤としても使われます。

初めに書いたように、チリ原産なので熱帯植物のように思われますが、京都では屋外で全く痛むことなく越冬することができました。生け垣にするには、生長が早すぎてすぐに形が崩れてしまうので難しいのかもしれませんが、街路樹としてなら利用できるかもしれません。